先日は、高校から奨学金を申し込む際のコース選び、特に「予約採用」の申請でのコース選びについて解説をしました。
今回は、大学等に進学した後、採用されている奨学金第二種から第一種へ変更したい時など、「在学採用」で新たに4つのコース選択について解説します。
目次
「在学採用」で加わる4つの選択コース
先日の記事で、書いた「予約採用」時の7つのコースに加えて、「在学採用」では新たに4つのコースが加わります。
合計11コースから選ぶことになります。
■「在学採用」で新たに加わる4つのコース
8.第二種奨学金の貸与を受けていますが、第一種奨学金への変更を希望します。 9.第一種奨学金の貸与を受けていますが、第二種奨学金への変更を希望します。 11.第一種奨学金の貸与を受けていますが、併用貸与への変更を希望します。 11.第二種奨学金の貸与を受けていますが、併用貸与への変更を希望します。 |
新たに加わる4つのコースは現在採用されている奨学金の変更を希望するコースになっています。
具体的に見ていきましょう。
8.第二種奨学金の貸与を受けていますが、第一種奨学金への変更を希望します。
申請時、第二種奨学金の貸与を受けているが、第一種奨学金への変更を希望する申請です。
第二種奨学金は利子がかかる奨学金なので、利子がかからない第一種奨学金に変更を希望する時に申請します。
もし、変更の希望が不採用になっても現在受けている第二種奨学金はそのまま継続されます。
第一種には、第二種とでは採用されるのに基準が違っています。
|
ここで、注意しておきたいのが
同じ第一種でも予約採用の時より、在学採用の方が収入基準が高くなっています。
収入基準については【収入基準】についてで詳しく書いています。
改めて日本学生支援機構のホームページでも確認して下さいね。
参考記事
もう一つ注意することがあります。
第二種奨学金を3万円貸与されている方は問題ないですが、5万円以上貸与されている方は国公立大学の自宅生以外は第一種奨学金が採用になると貸与される額が少なくなります。
貸与額の兼ね合いも考えて申請の変更を出されるといいでしょう。
■例)貸与型奨学金(大学の場合)
国公立 | 私立 | |||
自宅 | 自宅外 | 自宅 | 自宅外 | |
第一種 | 45,000円 | 51,000円 | 54,000円 | 64,000円 |
30,000円 | ||||
第二種 | 3万円、5万円、8万円、10万円、12万円から選択 |
9.第一種奨学金の貸与を受けていますが、第二種奨学金への変更を希望します。
申請時、第一種奨学金の貸与を受けているが、第二種奨学金への変更を希望する申請です。
第一種種奨学金は利子がつかない奨学金ですが、上記の表を見ていただくと分かるとおり貸与の額が決まっています。
もう少し借りたい場合、利子がついてきますが第二種奨学金に変更を希望する場合に申請します。
例えば、国公立大学で自宅外通学生の場合、第一種奨学金だと51,000円の貸与ですが、やはりもう少し増額を希望している場合、第二種奨学金になると8万円、10万円等と選択することができます。
|
ということは、その年の在学採用の枠に入れば採用されることになります。
この場合も、万が一不採用になっても現在採用されている第一種奨学金は継続されます。
10.第一種奨学金の貸与を受けていますが、併用貸与への変更を希望します。
申請時、第一種奨学金の貸与を受けているが、第一種・第二種の併用への変更を希望する申請です。
第一種奨学金の貸与額では少なくて、第一種奨学金と追加で第二種奨学金も貸与したい場合に申請します。
|
収入基準が予約採用と在学採用では違ってくるので詳しく見てみます。
■第一種・第二種併用の収入基準 予約採用と在学採用 (大学の場合)
4人世帯 | 予約採用 | 在学採用 | |||
給与所得者 | 給与所得以外 | 給与所得者 | 給与所得以外 | ||
国公立 | 自 宅 | 686万円 | 306万円 |
680万円 |
302万円 |
自宅外 | 747万円 | 349万円 | |||
私 立 | 自 宅 | 747万円 | 349万円 | ||
自宅外 | 804万円 | 396万円 |
(平成29年度)
ここでは、4人世帯で大学に進学した場合の収入の上限の目安を表にしました。
予約採用では基準が一律に決まっていたのに、在学採用では国公立大学、私立大学、自宅通学、自宅外通学で基準が細かく分かれています。
特に私立大学に自宅外から通学する人は給与所得で100万以上の差になっていますね。
予約採用では年収の基準で諦めていた人でも在学採用では基準を満たしている人もいるのではないでしょうか?
もちろん申請が不採用になっても、もともとの第一種奨学金はそのまま継続されます。
11.第二種奨学金の貸与を受けていますが、併用貸与への変更を希望します。
申請時、第二種奨学金の貸与を受けているが、第一種と第二種の併用への変更を希望する申請です。
やはり、第二種奨学金は有利子ですので、合わせて無利子の奨学金である第一種の貸与も受けることができればそちらの貸与を受けたいですよね。
貸与を受けている間は第一種、第二種奨学金共に利子はかかりません。
ですので、多めに貸与された場合でも第二種だけ優先的に返還していけば利子が少なくてすみます。
第二種奨学金は学力基準がなかったものの、第一種・第二種奨学金では学力基準があります。
そして、収入基準も併用は厳しくなっています。
■収入基準の比較 予約採用の第二種と在学採用の第一種・第二種の併用
4人世帯 | 予約採用 | 在学採用 | |||||
第二種 | 併用 | ||||||
給与所得者 | 給与所得以外 | 給与所得者 | 給与所得以外 | 給与所得者 | 給与所得以外 | ||
国公立 | 自 宅 | 1,100万円 | 692万円 | 686万円 | 306万円 | 680万円 | 302万円 |
自宅外 | 747万円 | 349万円 | |||||
私 立 | 自 宅 | 747万円 | 349万円 | ||||
自宅外 | 804万円 | 396万円 |
(平成29年度)
表を見ていただくとわかりますが、予約採用で第二種から在学採用の併用に変更する場合、収入基準が大幅に下がっているのでちょっと厳しいかなという印象を受けると思います。
ですが、予約採用で併用の申請が難しかった人も、在学採用では収入基準の額が多くなっていますので在学採用で再度申請されるのもいいかと思います。
「在学採用」で気をつけること
奨学金を受けていない人も申請できる
ここまでは、「予約採用」の時にはなかった、「在学採用」であらたに加わった変更の場合の4つのコースを見てきました。
ですが、変更ではなくもともと奨学金を受けていない人は先の記事で解説した1~8のコースで申し込みができます。
ただし、「入学時特別増額貸与奨学金」は入学する月に借りるものなので在学採用では除くことになります。
そして、入学した年でも初期を入学する月にしていない場合、例えば入学が4月の場合に5月や6月を始月にしていると申請できないことになってます。
もちろん、2年次以降に申し込みする場合は、「入学時特別増額貸与奨学金」の申し込みはできません。
変更の申請は年に1回のチャンス
この「在学採用」の申請は年に1回、在学する大学等を通して行います。
ですので、奨学金を新しく申請する人も、変更したい人も 年に1回のチャンスということになります。
殆どの場合、在学している大学等で4~5月にかけて奨学金の説明会があります。
この説明会で、資料の配布や各大学での申し込みスケジュールが発表されますので忘れないようにチェックしておいて下さい。
説明会に参加できなくても、資料は必ずもらいに行くようにして下さいね。
収入に関する書類の提出が必要
ここで、勘違いしやすいのが、親の年収を証明する書類です。
新しく申請する人は用意するのはもちろんなのですが、変更の希望を出す人も改めて親の年収を証明する書類を提出するように求められます。
給与所得だけの人は源泉徴収票のコピーの提出で大丈夫なのです。
それ以外の人はきちんと申告していないと公的な証明が出ません。
それでは、せっかく収入基準がクリアになっていても申請ができなくなってしまいます。
ですので、奨学金の申請に関係している子供さんがいらっしゃる保護者の方は、確定申告の時期は忘れずに申告しておきましょう。
まとめ
今回は、「在学採用」で現在貸与を受けている奨学金からの変更についてみてきました。
「在学採用」は「予約採用」より、収入基準が大幅に低くなっていますので対象になってくる方も多くなると思います。
ですが、採用の枠が「予約採用」より少なくなり、在学する大学等でも違っています。
ですので、申請してみなければわからないところはあります。
ですが、もし希望ではない奨学金の貸与を受けていて変更を希望する方は再度基準を確認して、もう一度トライしてみることをおすすめします。
奨学金といえども、子供がかかえる借金です。
現状、奨学金の貸与を受けながらでないと進学ができない状態であるなら、少しでも利子が少なくなるようかしこく利用していきたいですね。
よく読まれている記事はこちら