奨学金の貸与が終わって、大学等を卒業するといよいよ奨学金の返済が始まります。

ですが、卒業したからといってすぐに経済的に余裕をもって生活していけるか。

殆どの人が収入も少なく奨学金の返済を考えると目の前が真っ暗になってしまっているのではないでしょうか?

 

又、新卒ではなくても奨学金を返済している途中で収入が減ったり、病気をしたり、奨学金の返済ができない事情が起こることも多々あります。

 

改めて、学校に通い始めるなんて人もいるでしょう。

 

そんな時の為に、日本学生支援機構の奨学金返済では救済制度が設けられています。

 

今、正に

 奨学金の返済をしている方

 これから返済がはじまる方

 奨学金の貸与を受けようとしている方

奨学金の返済ができないときの救済制度を知って、賢く返済していきましょう。

 
 
 

 

奨学金の返済ができない時の救済制度

 

 

 

日本学生支援機構の奨学金では、返済ができない時の救済制度として3つの制度があります。

 

救済制度 特徴
減額返還制度
  • 月々返還する金額を1/2又は1/3に減らすことができる。
  • その場合、返還期間は2倍もしくは3倍になるが返還予定総額は変わらない
返還期限猶予制度
  • 月々の返還を先に延ばすことができる。
  • 先に伸ばした分、返還終了も先に延びる返還予定総額は変わらない
返還免除制度
  • 返還未済額の全額又は一部の返還を免除することができる。

 

これらの制度は申請 → 審査 → 承認 → 適用 という流れで採用されます。

そして、それぞれの状況によって適用になる制度や提出する書類も変わってきます

 

最終的に適用になるまで、奨学金の返還は続けられます。

 

困ってから書類を出したからと言ってすぐに採用になるわけではありません。

 

なので、「返還の口座から引落しができないよー!」なんてことがないように早めの申請をするようにしましょう。

 

でも、ここが歯がゆいところですが、早めと言っても何ヶ月も前に書類を送付しても早すぎると、返送されることがあります。

 

書類の送付時期も要チェックです!

 

それでは具体的に詳細を見ていきます。

 

 

減額返済制度

 

減額返済制度とは毎月の返還額を1/2または1/3に減額し、返還期間を延長することができる制度です。

対象者 災害、傷病、その他経済的な理由で奨学金の返還が困難な人で、当初約束した割賦を減額すれば返還可能な人を対象。
対象奨学金 第一種奨学金、第二種奨学金
返還期間 減額返還を適用した期間に応じた分の返還期間は延長される。
適用期間

1回の申請で12ヶ月。最長15年(180ヶ月)延長可能。(平成29年度より)

毎年手続きが必要。

 収入基準
  •  給与所得者:収入300万円、給与所得以外の所得を含む場合:200万円

 

ただし、第一種奨学金返還に関しては返還方式として、「所得連動返還方式」が選べます。(平成29年度採用者から)

この方式を選んでいる場合は、「減額返済制度」の利用はできません。

 

 → 第一種奨学金の返済金額が変わる【所得連動返還方式】の内容と手続きについて

 

この「減額返済」の制度を利用するにあたり注意しておきたいのが、

返還予定総額が減額されるわけではないということ。

そして、「延滞」していると願い出ることができないということです。

 

「減額返済制度」について

 → 【減額返還】奨学金の返済金額を減らす方法と利息について

 
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返還期限猶予制度

 

返還期限猶予制度とは一定期間返還を待ってもらい、適用期間終了後返還が再開される制度です。

 

返還期限猶予には2種類の制度があります。

  1. 「一般猶予」
  2. 「猶予年限特例」又は「所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予」

 

1.一般猶予

「一般猶予」とは、奨学生本人に返還困難な事情がある時に願い出によって一定期間返還を停止し先送りする制度です。

通常割賦金、または減額返還が困難な場合に願い出できます。

 

一般猶予の申請事由が細かく分かれており、事由によって猶予期間が違います。

 

猶予期間 申請事由
 取得年数の制限なし  傷病、生活保護受給中、災害(同一災害は5年。例外あり)、産前休業・産後休業及び育児休業、大学校在学、海外派遣、外国の学校へ留学
 10年(他の事由と通算)  入学準備中、失業中、経済困難、新卒等、海外居住、今年海外から帰国、外国で研究中

 

 

2.「猶予年限特例」又は「所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予」

 

「猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予」というのは、「猶予年限特例(平成29年以降採用者)又は所得連動返還型無利子貸与奨学金(平成24~28年度採用者)」を貸与終了後、一定の収入・所得を得るまでの間、願い出によって、一定期間返還期限を先延ばしする制度です。

 

この「猶予年限特例又は所得連動返還型無利子貸与奨学金」の対象者かどうかは奨学金の貸与が始まった時に発行された「奨学生証」や「貸与奨学金返還確認票」で確認できます。

それらの書類の右上部に「猶予年限特例」又は「所得連動返還型無利子奨学金」と書かれていればこの制度の対象者となります。

 

この制度は申請する時期(申請事由)によって2種に分かれています。

  1. 経済困難
  2. 新卒等

 

申請事由  要件
 1.経済困難

 卒業後一定の収入(給与所得者:300万円、給与所得者以外:200万円)を得るまでは返還期限が猶予される

在学期間終了後、翌年7月以降に願い出る場合。

猶予期限に制限なし

 2.新卒等  在学期間終了後、翌年6月までに願い出る

この猶予は貸与終了後に自動的にはじまるのではありません。

それぞれ、願い出る事で審査が始まります。

 

 

経済困難の申請事由について

 

一般猶予の場合は猶予の期限が10年となっていますが、この「猶予年限特例又は所得連動返還型無利子貸与奨学金」対象者の猶予は期限に制限がありません。

 

 

返還免除制度

返還免除制度とは、返還未済額の全部又は一部の返還が免除される制度です。

 

 理由 必要書類
  • 本人が死亡
  1.  「奨学金返還免除願」(相続人・連帯保証人連署。機関保証制度加入者は相続人のみ)
  2. 本人死亡の事実を記載した戸籍抄本、個人事項証明書又は住民票等の公的証明書)
  • 精神もしくは身体の障害によって労働能力を失う。
  • 又は労働能力に高度の制限を融資、返還ができない。
  1.  「奨学金返還免除願」(本人・連帯保証人連署。機関保証制度加入者は本人のみ)
  2. 返還する事ができなくなった事情を証する書類(家族状況書:本人及び連帯保証人の状況。機関保証制度加入者は本人のみ)
  3. 医師又は歯科医師の診断書(日本学生支援機構所定の用紙)

 *願出の内容によっては「一般猶予」への願い出を促される場合もある。

 

この制度は、本人が奨学金の返済が根本的にできなくなった時の保険のつもりで、知識として知っておくくらいの位置づけになるでしょう。

 

 

基本は、上に上げた2つの制度を利用して返済していくことになります。

 

 

まとめ

 

 

今回は、日本学生支援機構で貸与を受けた奨学金を返済していて困った時の救済制度について解説しました。

 

最初に約束した月々の返済額が負担に感じている時は、滞納してペナルティを受ける前に何らかの救済制度を利用してかしこく返済していってください。

 

特に、返済が苦しくなる状況の時は生活面でも諸々と忙しくなる場合が重なることが考えられますが、返済できないと放置せずに相談されることをオススメします。

 

そして、審査にはある程度の時間もかかりますので、前もって予測できる状況であれば早めの対策をしておくのがいいでしょう。

 
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