日本学生支援機構の借りる奨学金の貸与を受ける時に採用される利率の方式は2つあります。
- 「利率固定方式」
- 「利率見直し方式」
そして、奨学金の貸与を受けた学生はこの2つの方式から1つを選んで返済していくことになります。
最初に、この利率の選択を迫られるのが、奨学金の申し込みをする時です。
もちろん、利子が少なくなる選択をしたいと思いませんか?
ですがいきなり
「あなたの希望する利率の算定方法を選択して下さい。」
と言われてもどっちが得なのか判断できません。
そして、ここで選んだ算定方式ですが、
- 最初に選んだ方式がそのまま採用されるのか?
- それとも、変更できるのか?
- 変更できる場合はいつできるのか?
分からないのでますます迷ってしまい選べません。
そこで、
- 「利率固定方式」「利率見直し方式」どっちを選んだら利子が少なくなるのか。
- 最初に申し込んだ利率の方式から変更できるのか
- 実際に何を基準に選んだらいいのか
を見ていきます。
目次
「利率固定方式」と「利率見直し方式」とは
「利率固定方式」と「利率見直し方式」
日本学生支援奨学金の貸与型奨学金のうち有利子の
- 「第二種奨学金」
- 「入学時特別増額貸与奨学金」
の返済利息を算定する方法のことです。
そして、どちらか一方を選択しますが、どちらを選んだとしても、利率に上限(3%)が設けられています。
この有利子の奨学金 奨学金貸与中は利子がつきません。
大学4年間貸与を受けていた場合、その4年間の間は利子がつかず、大学を卒業して返済が始まってから利子がつくようになります。
日本学生支援機構の奨学金貸与の案内には
・「利率固定方式」とは
貸与終了後に決定した利率が、返還完了まで適用されます。将来、市場金利が変動した場合も、利率はかわりません。
・「利率見直し方式」とは
貸与終了後に決定した利率を、おおむね5年ごとに見直します。将来、市場金利が変動した場合は、それに伴い利率も変わります。(将来、市場金利が上昇(下降)した場合は、貸与終了時の利率より高い(低い)利率が適用されます。
とあります。
ここで注意しておきたいのは、貸与終了時に決定した利率です。
「入学時特別増額貸与奨学金」は入学時に1回きりの貸与になります。
ですので、その時点が「貸与終了時」ということになりますので、その時の利率が採用されることになります。
「入学時特別増額貸与奨学金」については後ほど詳しく解説します。
それでは、具体的に見ていきましょう。
「利率固定方式」とは
返済開始から終了まで貸与終了後に決まった利率が固定されて返済していきます。
ですので、利率が1.2%と決まれば、返済が終わるまでずっとその1.2%の利率が適用されます。
利率が0.2%であれば最後まで固定で0.2%です。
反対に2.6%と高めの利率だったとしても最後まで固定で2.6%です。
最高の利率は3%になっています。
「利率見直し方式」とは
おおむね5年ごとに利率の見直しがあります。
見直しがあるということは、おおむね5年ごとに利率が変わる可能性があるということです。
利率は市場金利の動きに合わせて上下するということです。
最初に決まった利率が1.2%として5年後に1.0%、その5年後に0.8%、又その5年後に0.5%と下がっていく場合があります。
これだと、「利率見直し方式」を選んで正解!って言えるかもしれません。
ですが反対に、最初の利率が上記と同じ1.2%だったとしても5年度に1.6%、その5年後に2.1%、又その5年後に2.8%と利率が上がっていくことも考えられます。
この場合は「利率固定方式」にしておけばよかったということになります。
「利率見直し方式」も利率の上限3%が設けられています。
「利率固定方式」と「利率見直し方式」を選ぶタイミング
次に、その利率を選ぶのはいつかということが気になります。
日本学生支援機構の案内では「貸与終了後に決定した利率」とありますが、
具体的には
|
この、2回利率を選択する機会があるということです。
1.奨学金を申し込む時
まず、「1の奨学金を申し込む時」に利率の算定方式を選びますが、これは「2の貸与が終了する年度」に変更することができます。
そして、
- 「利率固定方式」 → 「利率見直し方式」
- 「利率見直し方式」 → 「利率固定方式」
上記のように、どっちを選んでいたとしても変えることができます。
ですので、最初に奨学金を申し込む時はどっちを選んでもかまわないということになります。
ですが、卒業年度にもう一度利率を考えて選び直す事を忘れないようにしておきましょう。
2.貸与が終了する年度
「2の貸与が終了する年度」というのは、奨学金の貸与が終わる年度ということです。
大学等を途中で休学したり、留年したりして在学年数が5年、6年と伸びている場合もありますがその場合の最終学年ではないですので注意して下さい。
毎年、大学等で開かれている奨学金に関しての説明会には必ず出席して自分の奨学金の状態を把握しておくようにしましょう。
変更期限は年度によって違っています。
ですので、貸与が終わる年度の4月になったら、学校へ問い合わせておかれるといいでしょう。
そして、先程説明したように、退学や休学などで卒業までに貸与が終了してしまう人は、貸与が終了する月の前月までに在籍している大学等から変更の手続きをして下さい。
そこで、もし最初選んでいた方式から変えたい場合は、
「第二種奨学金『利率の算定方法』変更届」
を提出します。
この時の選択が最終のものになり、その後は変更することができません。
「利率固定方式」と「利率見直し方式」どっちを選ぶのがよいか
■第二種奨学金の貸与利率一覧(年利%) ~各年4月の利率~
年 |
H21 |
H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 |
H29 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
固定 | 1.57 | 1.57 | 1.47 | 1.22 | 0.79 | 0.89 | 0.59 |
0.10 |
0.23 |
見直し | 0.80 | 0.60 | 0.56 | 0.40 | 0.20 | 0.20 | 0.10 | 0.10 | 0.01 |
(日本学生支援機構の「当月中に貸与終了した者の貸与利率」より抜粋)
「利率固定方式」「利率見直し方式」共に日本学生支援機構のホームページ上で、「当月中に貸与終了した者の貸与利率」を毎月公表しています。
ですので、いち早く自分の選んだ方式の利率を知ることができます。
上記の表を見ても分かるとおり、最近は低金利の傾向にあります。
平成29年4月では利率固定が0.23%、利率見直しが0.01%と過去8年間を比べても最低水準にあります。
これから利率を選ぶとなるとこの利率より上がるか下がるかわかりませんが、利率が決まってしまうと変更できないので、返済を長期で考えている人は固定を選ばれる方がいいと思います。
次に、見直し方式ですが見直し方式の利率は固定方式より低く設定されています。
利率だけみると見直し方式を選びたいですが、いくら金利が低いといっても5年後に利率がどうなっているかは誰も予想できません。
確かなのは利率の上限が3%だということです。
もし、5年以内に返済が終わる予定がある人は見直し方式を選ぶことをオススメします。
それ以外の長期返済の予定の方は低金利の時は固定を選ばれる方がいいです。
反対に、利率が3%に近い状態にまでなっている時は「利率見直し方式」を選ばれて5年後の様子を見ていくこともいいかもしれません。
「固定方式」と「見直し方式」で判断が難しい所ですが
- 低利率の時、長期に返済していく予定の人は「利率固定方式」
- 低利率でも、5年以内に返済する予定がある人は「見直し方式」
- 利率が高めの時は、5年以内に返済予定の方は「見直し方式」
その他の場合は、それぞれの奨学金の返済していく額や年数によって変わってきますので、日本学生支援機構のシュミレーション等を利用して判断されるといいと思います。
利率上乗せの奨学金 増額貸与利率について
最後に、忘れてはいけないのが基本の利率に上乗せされる奨学金があります。
|
この2つの奨学金は返還利率が基本月額に係る利率と違っています。
この利率は「増額月額部分に係る利率」=「増額貸与利率」と呼ばれています。
そして、その増額貸与利率は先の基本月額に係る利率にそれぞれ0.2%上乗せされます。
平成29年4月の例では
基本月額 | 増額部分 | |
---|---|---|
固定 | 0.23 | 0.43 |
見直し | 0.01 | 0.21 |
表のように、それぞれの利率に0.2%上乗せされます。
そして、採用される利率は
・「第二奨学金の増額月額」は毎月の貸与が終わる月の利率
・「入学時特別増額貸与奨学金」は貸与された月の利率
ということになります。
まとめ
有利子の奨学金の貸与を受けるからには、利子がついてきます。
今回は「利率固定方式」と「利率見直し方式」の違いや、申し込むタイミングについて見ていきました。
一つ注意していただきたいのは、住宅ローン等と違って返済が始まってしまうと「利率固定方式」と「利率見直し方式」それぞれへの変更ができないということです。
利率は市場金利と連動して変わるので、どちらを選択するか難しい所ですが、ご自分の状況にあった方式を選ぶ参考になればと思います。
子供が勉強しない理由とは?カテキョnavi