平成29年度(2017年度)以降の第一種奨学金(無利子)の採用者には、返還方式として新しく所得連動変換方式」という「新たな所得連動返還型奨学金制度」が加わっています。

 

この方式は第一種奨学金(無利子)の返済金額が所得と連動して毎年変わるというものです。

 

今回はこの第一種奨学金返還の2つ目の返還方式について詳しく見ていきます。

 

 
 

 

「所得連動返還方式」とは

 

 

「所得連動返還方式」は平成29年度(2017年度)採用者から第一種奨学金(無利子)の返還方式として採用された制度です。

 

 

これにより、第一種奨学金の返還では

  • 「定額返還方式」(借りた総額によって1回あたりの返済額が決まる返還方式)
  • 「所得連動返還方式」

の2つ方式から選ぶことができます。

 

 

「所得連動返還方式」は返還が始まると、毎年、前年の所得に応じてその年の毎月の返還額が決まります。

 

毎月の返還額は、毎年変更があり得るということです。

ですので、トータルの返還期間は予め決まっていません

 

 

「所得連動変換方式」の対象条件と返還方法

 

具体的に「所得連動返還方式」の対象となるための条件を見ていきます。

 

 

「所得連動返還方式」の対象条件

 

 

「所得連動返還方式」の返還方法

 

 返還初年度とは 返還開始から直近に到来する9月まで
 割賦額の算定方法  

  •  課税対象所得に9%を乗じて12で除した額で、2000円を下回る場合は2000円。
  • ただし、返還初年度は定額返還方式による割賦額の半額となるが、申請により2000円とすることができる。
 割賦額の見直し  

  • 課税対象所得に基づき毎年見直しをする。
  • 見直し後の返還額は当該課税対象年度の10月から1年間。
最終割賦額

上記の方法で算出した割賦の端数が

  • 100円以上の場合:その額が最終割賦額
  • 100円未満の場合:最後の割賦額に上乗せした額が最終割賦額
 返還方法  口座振替による月賦返還のみ
保証制度  機関保証のみ
他制度等の適用
  • 「返還期限猶予制度」は適用可能
  •  「減額返還制度」は適用不可
 
 
 
 
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「所得連動変換方式」の手続き

 

「所得連動変換方式」を申し込む時に提出する書類について見てみます。

 

 

奨学生採用後に提出する書類

 

提出書類 提出先
1.「返還誓約書」 マイナンバーの利用に関する同意について署名・押印(未成年の場合は親権者も) 学校

2.「マイナンバー提出書」

日本学生支援機構が指定する宛先に「簡易書留」にて郵送する。

3.「個人番号カード」等のコピー

 

 

返還方式の変更について

 

■返還方式の変更可能なパターン

 

「所得連動返還方式」から「定額返還方式」へ

  • 貸与中のみ変更可能
  • 下記で記述した「定額返還になるケース」の場合は返還方式の変更ではない。

「定額変換方式」から「所得連動返還方式」へ

  • 貸与終了後でも変更可能 

 

返還方式の変更を考える時に気をつけておきたいのが、「所得連動返還方式」から「定額返還方式」への変更が、貸与中のみになっていることです。

 

 

ですので、貸与が終わる年に奨学金の返還について見直しをするタイミングでどちらを選ぶか考えておきましょう。

 

 

貸与中 変更時の提出書類

  • 「所得連動返還方式」から「定額返還方式」へ
  • 「定額返還方式」から「所得連動返還方式」へ

どちらも可能です。

 

 

そして、「所得連動返還方式」は保証制度を「機関保証」のみとしていますので、保証制度の変更がある場合とない場合によって提出する書類が違ってきます。

 

「所得連動返還方式」から「定額返還方式」へ 「返還方式変更願」を学校へ提出
「定額返還方式」から「所得連動返還方式」へ 保証変更あり
  • 「第一種奨学金 返還方式変更届」
  • 保証の変更依頼書
  • 保証料支払い依頼書
  • 親権者(後見人)同意書

が一体となった書類を学校へ提出

その後、保証変更が認められると、

  • 「マイナンバー提出書」

が配布されるので指定された宛先に簡易書留にて送付。

保証変更なし 「第一種奨学金 返還方式変更届」を学校へ提出

 

 

貸与終了後 変更時の提出書類

 

「定額返還方式」から「所得連動返還方式」への変更のみ可能。

 

  • 「第一種奨学金 返還方式変更届」を学校へ提出。

 

保証制度の変更がある場合は上記の貸与中の表を参考にしてください。

 

 

[関連記事]

 ⇒ 奨学金【保証制度】人的保証から機関保証へ変更できるのか?変更のタイミングは?

 

 

「所得連動返還方式」の返還時の注意事項

 

毎月の返済額の基準となる所得の情報

 

提出されているマイナンバーから課税対象所得の情報を取得する予定となっています。導入状況によって、課税証明書の提出が求められる場合もあります。

 

 

奨学生本人が返還中に被扶養者となった場合

 

奨学生本人と扶養者の課税対象所得の合計額によって、毎月の返済額を算出します。

ですので、扶養者の課税所得証明書又は、「マイナンバー提出書」と個人番号カード等のコピーを提出する必要があります。

 

 

返還月額は

  • 定額変換方式の返還月額以下の場合 → その金額
  • 定額変換方式の返還月額を越える場合 → 定額返還方式の返還月額

での返還になります。

 

 

定額返還になるケース

 

奨学金の返還で「所得連動返還方式」を選んでいても、定額返還になるケースがあります。

  • 奨学生や扶養者の課税証明書の提出要請に応じない場合
  • 海外居住等により所得が把握できない場合

 

 

この場合は、「所得連動返還方式」から「定額返還方式」へ返還方式の変更ではありません。

 

 

まとめ

 

 

 

今回は、第一種奨学金(無利子)の返還方式の一つである「所得変動返還方式」について見ていきました。

 

 

この制度は奨学金が免除されるわけではありませんが、収入が少ない時は返還額も少なく、収入が増えてくると課税対象所得に9%を乗じて12で除した額を上限として返還していきます。

 

 

ですので、自分の収入に合わせて返還していけて負担も軽減されます

 

 

そして、今回は無利子の奨学金に対しての制度なので、利子を気にすることなく返還していけるものです。

 

 

現時点でこの返還方式は無利子奨学金から先行的に導入されていますが、将来的に有利子奨学金にも導入を検討されています。

 

 

奨学金返還について参考になれば幸いです。

 

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